保健体育教育コースの神門大輔講師らの研究グループ
【概要】
保健体育教育コースの神門大輔 講師と,本学部卒業生の岡村太洋さん(現:高知大学大学院スポーツ・芸術文化共創専攻M2)が共同で体操競技の指導法開発を行いました。本研究は,体操競技における鉄棒の手放し技「トカチェフ」(懸垂前振り開脚背面とび越し懸垂)の習得過程を,発生運動学の立場から分析したものです。従来の運動研究は力学や生理学に基づく客観的分析が主流ですが,発生運動学では学習者本人の体感や「コツ」「カン」といった主観的な動感(身体感覚)を重視します。
本研究では,筆頭筆者(学習者自身)が2023年8月~2024年1月の間,週1~2回の練習を行い,その過程を4段階に分けて記録・分析しました。映像記録,音声データ,学習メモを用い,学習者の動感志向体験を純粋記述しています。結果として,学習者はどのような環境でも安定したトカチェフを実施できるようになりました。
【今後の波及効果】
本研究は,鉄棒技習得における主観的な感覚変化を理論化し,指導現場で活用可能な資料を提供しています。トカチェフ習得のための段階的な指導法を提示したことで,初心者やジュニア選手への指導に活用することができます。特に恐怖心を克服し,安定した技実施に至る過程を明らかにしたことで,現場での安全な指導に貢献することが期待されます。
【論文情報】
〇 タイトル:懸垂前振り開脚背面とび越し懸垂(トカチェフ)の練習方法に関する発生運動学的研究
〇 著者:岡村太洋,神門大輔
〇 掲載誌:四国体育・スポーツ学研究 第18号
〇 URL:
https://sspes.jp/gakkaishi.htm